2014-10-03

ヨウシュヤマゴボウ

 いろんな虫たちのいた場所としては何度も載せていたヨウシュヤマゴボウですが、この植物自体は、まだ取り上げていなかったようです。
 ヨウシュヤマゴボウは、漢字で書くと「洋種山牛蒡」で、明治時代初期以降に日本に入ってきた北アメリカ原産の帰化植物です。 日本には在来のヤマゴボウという植物があり、それの洋種だというわけです。


 花序は最初は上向きぎみのものもありますが、果実が実るにつれて次第に垂れ下がってきます。


 花の様子を見ていくことにします(上の写真)。 メシベは10前後の心皮が密にくっつきあっていますが、完全に融合するところまではいかず、花柱は分かれています。 オシベは心皮の数(つまり花柱の数)とほぼ同数です。 花弁は5枚と言いたいところですが、下の写真を見てください。


 上の写真にはミカドドロバチらしき蜂が写っていますが、今回注目するのは、蜂のとまっているヨウシュヤマゴボウの花です。 花を裏側から見るかたちになっていますが、ガクらしきものは見当たりません。
 じつはヨウシュヤマゴボウの花は、花弁が無く、ガクが花弁のように大きくなっています。


 上は花が終わり、果実になりかけの頃です。 子房の部分は融合し、心皮の境も次第にはっきりしなくなりますが、花柱は子房が膨れたために、よけいに離れてきています。


 果実は熟すと黒くなります。 この状態になっても、花柱の数ははっきり分かります。 ガクも果柄も花序枝も赤くなり、黒い果実との対比が美しくなります。 ただしこの黒い果実に含まれる赤紫色の果汁は、体や服に付くとなかなか落ちないので、注意が必要です。 アメリカでは、ヨウシュヤマゴボウの実を、Inkberry と呼んでいるくらいです。 また、ヨウシュヤマゴボウは全草が毒草で、果実は比較的毒が弱いというものの、無毒ではありません。


※ ヨウシュヤマゴボウはヤマゴボウ科に分類されています。 同じ属に分類されている日本在来のマルミノヤマゴボウはこちらに載せています。

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