2015-02-18

ニワツノゴケ

 コケ植物は、大きな群として、スギゴケなどの蘚類、ゼニゴケなどの苔類、それにツノゴケ類の3種類から成ります。 このブログでは、これまでに蘚類と苔類はいろいろ載せてきましたが、ツノゴケ類は今回が最初です。 ツノゴケ類は、日本では20種類ほどが知られています。


 上がそのツノゴケの一種で、ニワツノゴケ Phaeoceros carolinianus だろうと思います。 ゼニゴケに似た葉状体から、角(つの)のような胞子体が伸びています。 溝の縁に生えていたのでこんな姿ですが、平坦な所に生えていれば、ほぼ平らな葉状体から胞子体が上に立ち上がります。 胞子体の基部は筒状の包膜に囲まれています(下の写真)。


 蘚類と苔類の胞子形成においては、胞子体内部の組織分化が同調的に起こり、一斉に胞子が形成されます。 これに対し、ツノゴケ類は胞子体の基部に分裂組織をもち、胞子体組織を作り続けて上に伸びながら胞子を完成させていきます。 胞子体は先から2つに裂け、完成した胞子から順に散布され、胞子体は胞子の散布を終えた先端部から順に枯れていきます。
 上の写真の胞子体はまだ全体が若く、胞子を散布していませんが、下の写真中央の胞子体は、先端から4/5ほどが裂けています。


 上で、写真のツノゴケは、たぶんニワツノゴケだろうと書きました。 しかし、写真のような形態を持つツノゴケは多く、正確な同定には顕微鏡観察が必要です。
 ニワツノゴケであろうと判断したのは、ひとつにはニワツノゴケが普通種であることと、もうひとつは胞子の色です。


 上は胞子体の茶色くなっているすぐ下を切断し、しごいて胞子を出したものです。 胞子が黄色であるのは、ニワツノゴケの特徴のひとつで、例えばやはり比較的よく見られるナガサキツノゴケの胞子は黒色です。
 下は胞子の拡大です。

TG-2スーパーマクロモード(デジタルズームoff、LG-1使用)で撮影

(2015.2.15. 交野市)

◎ ニワツノゴケはこちらにも載せています。