2015-04-15

シラカシトガリキジラミ

 シラカシトガリキジラミが羽化しました。 最初に幼虫を見つけたのが昨年の5月で、継続観察していたものです。
 以下、日付順に載せることにします。

● 5月19日(2014年)


 シラカシの葉の裏にシラカシトガリキジラミの幼虫がいました。 上の写真以外の所にも、周囲の葉にも、幼虫はたくさんいましたが、多くの幼虫は葉脈に沿うように分布しています。 体長は0.7~0.8mmでした。 写真の色からも分かるように、シラカシの葉はその年に葉を広げた新葉ですから、芽吹いてから卵が産みつけられ、孵化したはずです。 下の写真のように脱皮殻をくっつけたものもいましたから、少なくとも2齢以上のはずです。 前にカシトガリキジラミの幼虫のところに載せた文献では、カシトガリキジラミでは春に2齢になり、そのまま夏を越し越冬するので、シラカシトガリキジラミも似た生活史ではないかと思いました。


 写真では真上からフラッシュを光らせていますので、影がほとんど消えていますが、幼虫の付いている所はゆるやかに凹んで(=葉の表面が膨らんで)います。

● 10月6日(2014年)


 このまま越冬すると思われますが、いちおう形態的に変化の無いことを確認しました。 上の写真では2頭とも左を向いています。 前方の黒っぽい部分の左右には赤色を帯びた眼点が見えます。 また前方2/3と後方1/3との境に溝がありますが、これが胸部と腹部との境になります。

● 3月22日(2015年)


 この頃になると齢が急に進むようです。 上の写真は次のように解釈できます。 まず左上には、これまで載せてきた2齢の姿の下にそれより大きな幼虫が、白い排泄物を出しています。 これは、脱ぎ捨てた2齢幼虫の殻を被った3齢幼虫でしょう。 そして右下にいるそれより大きな幼虫は4齢幼虫なのでしょう。


 上は2齢幼虫(左)と3齢幼虫(右)でしょう。 どちらも画面上を向いています。


 上の写真には、2頭の4齢幼虫が写っていて、そのうちの1頭は脱いだ3齢の殻を被っています。


 上の写真は、左下が脱ぎ捨てられた3齢幼虫の殻、左上の幼虫は色も薄く長い毛が見られませんが、これは脱皮したばかりの4齢幼虫でしょう。 そして右が脱皮して時間の経過した4齢幼虫でしょう。

● 4月4日


 ほとんど4齢幼虫ばかりになっていました。 4齢幼虫の長い毛が増えているように思います。 幼虫の体長は、個体差があり、2.0~2.5mmほどでした。

 そろそろ羽化が近いのではないかと思い、羽化の瞬間を撮りたくて、幼虫のいる葉を室内に持ち込みました。 葉が萎れないように、葉柄には湿らせたティッシュを巻きつけておきました。

● 4月5日


 室内に取り込んでからほぼ24時間後、上の写真のように半透明の白い粒がたくさん転がっていました。 これまであちこちに書いたように、光合成をしている植物体内の水に含まれている栄養分には糖分が多く、これを吸って生活している虫たちは、他の栄養分を取り込むために、多すぎる糖分を排出しなければなりません。 シラカシトガリキジラミの幼虫は、このような半透明のワックス(?)の粒にして排出しているのでしょう。 それにしてもたくさんの量です。 思ったより活発な生命活動を行っているようです。
 このことは、室内に持ち込んではじめて分かったことです。 野外では、葉の裏にいる幼虫がこのようなものを排出しても、下に落ちるだけです。 このワックス(?)の粒には粘着性が全く無く、コロコロと転げます。
 この白い粒を指で触れると、スーッと消えました。 体温で溶けたのでしょうが、濡れたような跡は残りませんでした。 水分はほとんど無く、ほとんどがワックス成分なのでしょう。

● 4月7日


 気がつかないうちに羽化していました。 美しい緑色をしています。 頭を固定して腹部を左右にユラユラ揺らしています。

● 4月9日


 羽化したシラカシトガリキジラミは黒くなっていました。 場所はほとんど同じ所にいました。 他の幼虫も、体を浮かして移動するものが目立つようになりました。

 4月7日に羽化した個体は、4月10日には飛んだり、触角を盛んに動かしてあちこち動きまわりはじめました。 単独できれいに撮ってやろうと思い、別の場所に移動させようとしたところ、パチンと飛んで、視野から消えました。
 他の幼虫も次々と羽化したのですが、残念ながら羽化の瞬間に巡り合うことはできませんでした。 たぶん羽化は短時間で終わるのでしょう。


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