2015-08-07

ツルチョウチンゴケ


 上は、画面中央から左下にかけての胞子体など他のコケも少し混じっていますが、2015.6.17.に岩湧山の標高350m付近で撮った、チョウチンゴケ科のツルチョウチンゴケ( Orthomnion maximoviczii )です。
※ 属の所属は2016年に Plagiomnium から Orthomnion に移されています。

 ツルチョウチンゴケ属は、写真のように直立茎と匍匐茎の2種類の茎を持ちます。


 ツルチョウチンゴケは雌雄異株です。 雄株の直立茎の先には上の写真のような雄花盤ができていました。
 雌株の直立茎の先はこの時期は目立ちませんが、雄花盤で作られた精子が雌株の造卵器にある卵に泳ぎ着き、受精すると、胞子体の形成が始まります。

 じつは今年の1月末から堺市南区岩室で継続観察していたツルチョウチンゴケがあります。 以下は胞子体の変化を中心とした記録です。


 上は2月3日の撮影です。 冬の寒空に若い胞子体が真っ直ぐに伸びていました。 最初に胞子体が伸びているツルチョウチンゴケの存在に気がついたのは1月24日ですが、状況は同じでしたので、良い写真の方を載せています。


 3枚目の写真では、たくさんの胞子体が写っていますが、この場所のツルチョウチンゴケでは、1茎に1~3本の蒴柄が見られました。 上の写真は3本の蒴柄の株です。


 少し離れた所には雄花盤をつけた雄株の群落もありました(2月3日撮影)。 2枚目とは半年違っていますが、コケ植物の場合は、種による違いもあるでしょうが、生活環の季節性が厳密ではないのだと思います。


 上は3月24日の撮影です。 蒴が太り、下垂しはじめています。 長い帽がついています。
 今までの写真とコケの傾きが異なりますが、この群落は崖の棚部にも斜面にも広がっているためです。


 上は5月1日の撮影です。 帽は取れています。 蓋の嘴はやや長めです。


 上も5月1日の撮影です。早いものでは蓋も取れて胞子が出ていました。 動画は撮れませんでしたが、外蒴歯が内蒴歯の隙間に入り込み、胞子をかき出しているような動きも観察できました。
 外蒴歯、内蒴歯とも16本のようです。



 上の2枚は5月11日の撮影です。胞子形成を行った雌株は弱っているようです。 継続観察の結果は以上です。

 以下、ツルチョウチンゴケの葉の特徴も見ておきます。 なお、撮影は5月11日の葉を使用しています。


 葉は長楕円形で波打っています。 中肋は葉先に届いていて、中肋の両側には大型の細胞の列が見られます。 葉縁の歯はほぼ葉の全周にあります。
こちらでは中肋の両側に大型の細胞があることを、葉の横断面を作って示しています。


上は葉の先端部分です。 葉の先端は円頭または凹頭で、微突起があります。


 上は葉縁です。 葉縁には2~4細胞列の明瞭な舷があります。 1つの歯は1~2個の細胞からなっています。

◎ ツルチョウチンゴケはこちらにも載せています。