2015-09-30

オニバス


 9月20日の朝日新聞DIGITALに、堺市のニサンザイ古墳でオニバスが確認されたとの記事が載ってたので、行ってきたのですが、柵があり、柵の外から撮れたのは上のような写真だけでした。 葉の表面はデコボコしています。
 オニバス( Euryale ferox )は環境省レッドリストで絶滅危惧II類に指定されているスイレン科の浮水性の水草です。 葉はとても大きく、大きな葉では直径が2mほどにもなるのですが、1年草で、毎年種子から育ちます。 種子の寿命は長いらしく、長い眠りについていた種子が発芽して、思わぬ所に出現することがあります。 このニサンザイ古墳でも過去にオニバスがあったという記録は無いようです。
 この古墳は昨秋、護岸工事のために堀の水を完全に抜いており、大阪市立自然史博物館の佐久間主任学芸員によると、「泥が攪拌(かくはん)され、長年泥の中で眠っていた種子が刺激された可能性がある。」とのことです(朝日新聞より)。
 突然出現して驚かせることもある反面、今年確認できた場所で翌年は確認できないことも多い植物です。 その理由の1つは、1年生植物ですので、沈んでいた種子に蓄えた栄養分だけで池の底から葉柄を伸ばして水面に葉を広げなくてはなりません。 発芽時に水深が深いようだと、伸びるのに必要な栄養分が不足し、光合成できないままに枯れてしまいます。

 これだけいろいろ書いて最初の1枚の写真だけではものたりないので、1981年に撮ったオニバスの写真を下に載せておきます。


 撮影場所は、今はハスがいちめんに植えられている長居植物園の池です。 当時は写真のようによく育っていましたが、やはり水位が安定的に高くなったためか、年々少なくなり、もうかなり以前から全く見ることができなくなりました。
 この写真の葉の無い所でサークル状に突き出しているのは花です。 よく育ったオニバスは、このようにサークル状に花を並べます。 花は閉鎖花が多いうえに、咲いても大きく開かず、いつまでもツボミのようですが、上の写真を拡大すると、1つだけピンク色が見えました(下の写真)。 これが開放花の色です。


おしらせ

 台風の後を追って(?)、今日から10月3日までの予定で、石垣島と西表島で遊んできます。
 このブログは毎日更新するようにスケジュールしておきますが、コメントをいただいた場合のお返事などは遅くなるかもしれません。

2015-09-29

クマスズムシ(オス)



 写真はクマスズムシ( Sclerogryllus punctatus )のオスでしょう。 名前に「スズムシ」とついていますが、スズムシがマツムシ科であるのに対し、クマスズムシはコオロギ科です。


 あまり動かないと思ったら、右の後脚にダメージを受けていたんですね。

(2015.9.18. 堺自然ふれあいの森)

2015-09-28

オタルヤバネゴケ


 写真はオタルヤバネゴケ( Cephalozia otaruensis )です。 小さなコケで、這っている植物体の幅は1~2mmほどです。


 葉は1/2までU字型に深く2裂しています。 腹片や腹葉はありません。


(2015.9.13. 京都市 宝が池公園)


2015-09-27

エゾビタキ





 堺自然ふれあいの森で(2015.9.23.)、渡りの途中のエゾビタキが数羽、フライングキャッチを繰り返していました。 逆光のうえに小さなレンズしか持っておらず、まともな写真は撮れませんでしたが、最近は鳥の記事の少ないこともあり、記録の意味で載せておきます。
 また、このエゾビタキに混じって、確認できたのは1羽だけでしたが、コサメビタキもいました(下の写真)。


※ もう少しいい条件で、大阪城公園で撮った秋の渡りのエゾビタキはこちらに、コサメビタキはこちらに載せています。


2015-09-26

チュウゴクネジクチゴケ


 道の擁壁についていたチュウゴクネジクチゴケ( Didymodon vinealis )です。 団子状の群落を作っていました。 ハマキゴケと同じような場所に生えますが、ずっと濃い緑色をしています。


 湿ると葉が開いて上の写真のようになります。


 1枚の葉は長三角形で、先が尖っています。 葉の縁が濃く見えるのは外曲しているからです。


 葉身細胞は円状方形で、1~2個の大きなパピラがあります。

(2015.9.13. 京都市 宝が池公園)

2015-09-25

ナミハナアブ


 咲き始めたタムラソウにナミハナアブが来ていました。



 ハナアブの仲間は似たものが多いのですが、そのなかでもナミハナアブは体の色の変異が大きく同定が難しいように思います。 特にシマハナアブとは紛らわしい個体がいて、両者の区別点はシマハナアブのところに書きました。 また、アシブトハナアブとも似ていて、以前の記事では間違えてしまいました(こちら)。 今回こそナミハナアブだと思うのですが・・・。

(2015.9.22. 堺自然ふれあいの森)

2015-09-24

ケゼニゴケの雄器托

 ケゼニゴケの記事に雄器托の写真を追加しました。


ウロコハタケゴケ



 上はウロコハタケゴケ( Riccia lamellosa )でしょう。 街路樹の湿り気のある根元に育っていました。 葉状体の縁から無色の腹鱗片がはみ出ていて、これが鱗のように見えます。 葉状体は二又に分かれ、しばしば1枚目の写真のようなほぼ円形の群落を形成します。
 ウロコハタケゴケは古木達郎により2000年に「蘚苔類研究」で報告された苔です(こちら)。 一見するとハタケゴケ( Riccia glauca )に似ているのですが、肉眼的に“鱗”に気付かなくても、葉状体の中央部にある溝が、ハタケゴケでは幅広いのですが、本種では線状です。 古木は、これまで見つからなかったのが不可解で、帰化種である可能性があるとしています。


 上はウロコハタケゴケの葉状体の断面です。 気室はありません。 背面部(=上側)は柵状に細胞が並び、その一番上の細胞は葉緑体を持っていません。


 上は葉状体の中央付近の背面部の断面です。 柵状に細胞が並んでいますが、中央の溝の部分に他とは様子の異なった構造が見えます。 下はその拡大です。


 ウロコハタケゴケは雌雄同株で、雄器も雌器も葉状体の組織中に埋もれています。 また雌株では受精した雌器で胞子塊が作られます。 上の写真のものは雌器だと思いますが、調べてみてもはっきりしません。

(2015.9.13. 京都市 宝が池公園)

2015-09-23

カモジゴケ


 写真はカモジゴケ( Dicranum scoparium )です。 種小名の scoparium は「ほうき状」という意味です。 乾いていると上の写真のように葉を八方に広げていますが・・・


 乾くと葉は茎の片側にやや偏って斜めに開くのが特徴です。 保育社の図鑑も平凡社の図鑑も、茎に多くの褐色の仮根をつけるとなっているのですが、上の写真のものは、下部の仮根は褐色ですが、上部の仮根は白っぽく見えます。


 葉は細長い披針形です。 上の写真の葉は長さが 7.5mmほどで、どの葉も長さは7~10㎜ほどです。


 上は葉の先の部分の顕微鏡写真です。 葉の上半分の葉縁と中肋背面には歯が見られます。


 上は葉の中央より下の部分です。 2つ折りになっている葉を開くことができませんでしたので、写真の上方は葉が重なった状態になっています。 細胞は細長く、細胞壁は少し厚めです。

(2015.9.13. 京都市 宝が池公園)

コガシラコバネナガカメムシ

 写真はアカメヤナギの葉上でお休み中のコガシラコバネナガカメムシです。 堺自然ふれあいの森で9月18日に撮影しました。




 コガシラコバネナガカメムシ( Pirkimerus japonicus )は体長約8mmで、1961年に新種として記載されたコバネナガカメムシ亜科のカメムシです。
 コバネナガカメムシは、ヤガなどがササに開けた穴から茎の中に入り、茎の内側から吸汁し、茎の内側で繁殖し、ササの茎の外に出ることはほとんどありません。 このことが、写真のようによく目立つ体色の虫が最近になってやっと記載された理由だと考えられていました。
 堺自然ふれあいの森では繁茂しすぎたネザサの刈り取り作業を行っています。 その結果、棲家を失ったコガシラコバネナガカメムシが出て来ていたのでしょう。

 この虫の変わったところは、ササの茎から出ないだけではありません。 コバネナガカメムシ亜科に属する種は、その名のとおり短翅型がよく出現するのですが、コガシラコバネナガカメムシはこれまでのところ長翅型しか知られていません。 さらに、コガシラコバネナガカメムシは長い間、関東地方付近でしか記録されていませんでした。
 飛翔力のある長翅型がなぜ関東地方に限定されるのか、このような分布は侵入してまだ分布が拡大していない外来生物によく見られるパターンです。 中国の図鑑に本種がタケの害虫として載せられていることや、最近になって発見されたことと併せて考えると、種小名は japonicus とされましたが、どうやらコガシラコバネナガカメムシは中国から入ってきた外来生物のようです。

 この文は、とちぎ昆虫愛好会の機関紙「インセクト」(第 58巻1号,p.1-14,2007)に掲載されている、「高橋敬一:コガシラコバネナガカメムシとは何か?-「日本の」という名前を持つ外来種の話-」(こちら)を参考にしました。

2015-09-22

エダウロコゴケモドキ


 写真は岩上に育っていたエダウロコゴケモドキ( Fauriella tenuis )です。



 葉は二叉する短い中肋があり、細胞の背面中央には大きなパピラが1個あります。


(2015.9.13. 京都市 宝が池公園)


フルノコゴケ


 上は樹幹についていたフルノコゴケ( Trocholejeunea sandvicensis )で、乾いています。


 フルノコゴケは湿ると葉を大きく広げます。 上の写真は左が乾いた状態で、右が湿った状態です。


 上は湿った状態のフルノコゴケです。 中央やや右寄りと下中央の黄色の矢印の所には、10筋の稜のある花被がついています。


 上は湿った状態のフルノコゴケを腹面から撮ったものです。 円形で全縁の腹葉が並んでいます。 葉(側葉)の腹片は存在するのですが、写真のように葉は湿ると背方に偏向しますので、腹片の存在は上の写真からは確認できません。


 上は葉を1枚はがして腹片を撮ったものです。 腹片の長さは背片の1/2~1/3で、半円形をしており、上半分の縁にやや不明瞭な低い歯を3~5個つけています。


 上は葉身細胞を撮ったものです。 油体は楕円体で、各細胞に30~35個見られます。
 写真は油体がよく分かるようにピントを調節しましたので、トリゴンはピントがずれているのですが、下中央の赤い円内のトリゴンの様子は比較的よく分かります。 トリゴンは2辺で膨れ、1辺で凹んでいます。

(2015.9.13. 京都市 宝が池公園)


(以下、10月24日追記)
 10月18日、上と同じ宝が池公園で、上の3枚目の写真で示した花被から蒴が出ていました。 蒴は4裂して既に胞子を飛ばした後で、その内側には糸状の弾糸が見えます。




 3枚の写真のうち、上2枚は乾いた状態で同じ蒴を方向を変えて、3枚目は別の蒴を濡れた状態で撮りました。

◎ 新鮮な、胞子を出している蒴の写真をこちらに載せています。


2015-09-21

ブチヒゲヘリカメムシ


 写真はヒメヘリカメムシ科のブチヒゲヘリカメムシ( Stictopleurus punctatonervosus )だと思います。 このカメムシは以前載せたことがあるのですが(こちら)、イネ科、タデ科、キク科の植物に来るとされていて、オミナエシ科のオミナエシに複数個体が来ていましたので、再登場させておきます。



 カメムシ目は以前は半翅目と呼ばれていました。 これはカメムシの仲間では前翅の根元側の半分ほどが厚く、残りの半分ほどが膜状になっているところからです。 上の写真(ピンボケですが・・・)では翅を広げかけていますので、そのことがよく分かります。

(2015.9.8. 堺自然ふれあいの森)