2015-09-03

シロウツボホコリなど

 変形菌は、胞子から生まれてしばらくはアメーバ状の単細胞で細菌などを食べて暮らしながら分裂して数を増やし、性別の異なる粘菌アメーバと出会うと接合し、その後は核だけが分裂して多核の巨大アメーバ状の変形体となり、その後、下の写真のような柄や胞子などさまざまな種類の細胞からなる子実体を形成します。 このように粘菌は、単細胞生物と多細胞生物との関係や、細胞の分化を考えるうえで、たいへんおもしろい生物です。



 堺自然ふれあいの森で、伐られて朽ちかけた2つの小さな材に、たくさんの粘菌の子実体がついていました。 上の2枚の写真の、白~薄茶色の粒々の1つひとつがその子実体です。
 今年は夏の終わりに雨が多かったこともあるのでしょうが、同日(2015.8.24.)の限られた場所にこれだけ多くの種類と量の粘菌を見たのは、はじめてです。


 上はシロウツボホコリ Arcyria cinerea でしょうか。 たくさんの子実体が写っていますが、これらは1匹の変形体からできたものですから、どの子実体もほとんど同じ状態で、既に子嚢壁(子嚢表面の膜)は無くなり、胞子が飛び出せる状態です。

上はシロウツボホコリを細い枯枝で触り、胞子を飛散させてみたものです。


 上はシロウツボホコリの未熟な子実体だろうと思います。 下はその拡大です。


 上の写真の中央と右に写っている、ボンヤリとして中が透けて見えているのは、胞子を飛散させた後の細毛体です。



 上の写真の種では胞子を飛ばし終え、子実体は細毛体のみになっています。
 前に載せたマメホコリのような着合子嚢体では長くその姿を保ちますが、ここに載せたような単子嚢体はとても短命で、すぐにバラバラになってしまいます。


 上は近くにあったムラサキホコリ属の一種です。

 下もシロウツボホコリだと思いますが、少し違うようにも思います。


 上はカビにやられかけています。

こちらではシロウツボホコリの細毛体や胞子を顕微鏡で観察しています。


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