2016-04-30

マルトビムシの一種



 木道の手すりの隙間にたくさんのマルトビムシがいました。 体長は2mm前後です。 条件が揃ってある種のカビが生え、それを食べに来ているのでしょう。
 食餌に集まったと思われるトビムシの集団は時々見ますが、いつも同種の集団のようで、不思議です。



(2016.4.22. 堺自然ふれあいの森)

2016-04-29

ホソハリゴケ



 山の斜面に生える小さなコケ、ホソハリゴケ Claopodium gracillimum のようです。


 生えている所を見ると、表面上は土も見え、まばらな印象もありましたが、その下には土にまみれた長い茎が這っていました。


 茎は不規則に分枝しています。 葉の長さは 0.3mm前後しかありません。


 蒴をつけた茎は、胞子体形成に栄養分を回したのか新しい枝はほとんど伸びておらず、土まみれの古い茎が目立ちます。 蒴柄は上の写真のものでは 4.5mmほどあります。


 枝葉は漸尖し、中肋は葉先近くで終わっているようです。 歯は葉の基部近くを除き、ほぼ全周に見られました。


 上は葉が二つ折れになった部分を見たものです。 葉身細胞には1個の背の高いパピラが見られます。

(2016.4.13. 池田市五月山)

2016-04-28

スミレ


 タンポポという種名のタンポポは無く、サクラという種名のサクラはありません。 しかし種名としてのスミレはあります。
 スミレ Viola mandshurica は日当たりの良い所であれば、山間部の道端から都会まで、ほぼ全国で見られ、その意味では親しまれているわけで、スミレ科の代表と言えるでしょう。
 花は濃紫色です。 葉はヘラ型で、斜め上に展開し、葉柄には翼があります。


 側弁の基部には毛が見られます。


 距の形態は変化が多いようです。


 スミレの仲間の掲載を3日続けましたので、今回のオシベに関しては、断面ではなく、外側から撮ってみました。

(2016.4.22. 堺自然ふれあいの森)

2016-04-27

アリアケスミレ


 アリアケスミレの「アリアケ」は、花の色が変化に富むところから、有明の空の色になぞらえられたのだとか。 花の色はほとんど白に近いものから紫色のすじの濃いものまでいろいろです。 昨日のシハイスミレが林のスミレであったのに対し、アリアケスミレは水田や畑の畦など、日当たりの良い湿り気のある所を好みます。



 側弁の基部にはたくさんの毛があります。


 上は花の断面を作ってメシベとオシベの周辺を見たものです。 受粉のしくみについてはシハイスミレのところを参考にしてください。 メシベの形態はスミレ類の分類に役立ちます。

(2016.4.12. 堺自然ふれあいの森)

2016-04-26

シハイスミレ



 よく見るスミレですが、このブログにはこれまで登場していませんでした。 上の写真には落ち葉がたくさん写っていますが、シハイスミレは林の水はけの良い所を好むようです。 葉は長卵形~披針形です。


 シハイスミレの「シハイ」は「紫背」で、上の写真のように葉の裏が紫色を帯びています。 ただし葉の裏が紫色のスミレは、ヒナスミレやフモトスミレなど、他にもあります。


 上は花の中心部を斜め上から見たものです。 多くのシハイスミレでは、側弁に毛はありません。


 上は手前の上弁と側弁を取り去った花を横から見たものです。 他のスミレ類に比較して距は長めです。 下は上の写真のメシベとオシベの部分を中心に拡大したものです。


 スミレの仲間のオシベには花糸がなく、葯の先には付属体があり、この付属体は花柱を取り囲んでいます。 葯から出た花粉は花柱と付属体の間に蓄えられます。 メシベの花柱は子房に近くなるほど細くなっています。
 唇弁の蜜標に導かれて花に入った虫は、距に蓄えられた蜜を求めてメシベと唇弁との間を奥に進みます。 その時、体につけていた花粉を柱頭に付けるとともに花柱を押し上げると、付属体と花柱との間に隙間ができ、蓄えられていた花粉が虫の背中に降り注ぐことになります。

(2016.4.6. 堺自然ふれあいの森)

2016-04-25

ニッケイトガリキジラミの羽化



 ヤブニッケイにニッケイトガリキジラミ Trioza vinnamomi がたくさんいました。 どの個体も新鮮で、ちょうど羽化の時期だったようです。



 同じ木には、下の写真のようなニッケイハミャクイボフシがたくさん見られました。 ここで育ったのでしょう。(詳しくはこちら


(2016.4.15. 長居植物園)


2016-04-24

ツツハナバチ

 昨年自宅に竹筒を置いたところ、ツツハナバチ Osmia taurus(ハキリバチ科)が巣を作りました。 昨年は無事育ってくれるようにそっとしておき、今年の羽化を待ちました。



 4月5日に、殆どの竹筒で、口を塞いでいた土が壊れているのに気がつきました。 羽化が既に始まっていたようで、土を押しのけて飛び去ってしまったものも多いようですが、上の写真のように、まだ出てくるものもいました。 この時期に羽化してくるのはオスです。

※ 2017年4月のオスの羽化の様子をこちらに載せました。

 4月7日に見ていると、ツツハナバチが次々と竹筒に飛来し、竹筒を順番にチェックし、飛び去っていきます。 オスがメスの羽化を確認に飛来しているのでしょう。 そのうちの1頭を捕らえ、一晩冷蔵庫で過ごしてもらって動きを抑え、撮影したのが以下の写真です。


 体は黒色で、体毛の大部分は赤褐色です。


 前翅の縁紋は幅よりもはるかに長くなっています。


 オスは花粉を運ぶ必要は無く、メスの所に書く腹部腹板の刷毛はありません。 腹部末端は尾節板を欠いています。 体長は体を少し丸めていますのではっきりしませんが、10~11mmほどです。


 ほぼ元気になったので、元に戻してやりました。 しばらくすると、元気に飛び去りました。


 4月20日、ツツハナバチは竹筒に頻繁に出入りしていましたが、竹筒の周囲をウロウロするオスらしい姿はもう見当たりません。 メスが巣作りに忙しいようです。 飛来して迷いなくスッと竹筒に入り、竹筒から出る時もスッと出て飛び去ります。 竹筒内に運び入れようとしているものを確認しようと思いましたが、出入りの瞬間はとても撮れそうにありません。
 以下は竹筒に入ったのを確認し、その出口に袋をかぶせ、出てきたメスを冷蔵庫で冷やして撮ったものです。


 体は花粉まみれです。 体についた花粉は幼虫の食料として竹筒の中で落としてくるのだと思っていたのですが・・・。 これでも幾分かは落としてきたのでしょうか。 入る竹筒を間違えて慌てて出て来たとは思えないのですが・・・。


 翅脈はオスと変わらないようです。 オスより短い触角です。


 腹部の腹面は花粉がビッシリです。 よく分かるようにと黒い背景にしてみましたが、あまり効果は無かったようです。
 ミツバチなどは花粉をくっつけるための刷毛と呼ばれる毛を後脚脛節に持つことはよく知られていますが、ハキリバチ科の刷毛は腹部腹板上にあります。


 ツツハナバチによく似たハチにマメコバチがいて、体毛の色が少し違う他に、メスの頭盾の突起が異なるのですが、これにも花粉がたくさんついていて、よく分かりません。 やはり花粉を落としてから撮るべきだったかな。

 4月22日、巣が完成したのか、竹筒の入口を土で塞いでいるハチがいるのに気付きました。 慌ててカメラを取りに行ったのですが、間に合わず。 下は昨年の4月22日に撮ったもので、土を頭で突き固めているところです。



2016-04-23

蒴の開いたチャボヒシャクゴケ

 2月に花被から胞子体が顔を覗かせているチャボヒシャクゴケを載せましたが(こちら)、4月中旬の五月山では、胞子体が伸び出し、蒴の開いたものがありました。



(2016.4.13. 池田市五月山)


2016-04-22

クロモジのトゲキジラミ

 4月19日、カタクリの花で吸蜜するギフチョウの写真を撮ろうと思い、大和葛城山に行ったところ、クロモジの展開しかけた葉で、トゲキジラミの成虫を見つけました。


 大和葛城山のクロモジにいたトゲキジラミのことは前にも書いていますが(こちら)、今回見つけたのは、前にいた所からは 200mほど離れた別のクロモジです。
 トゲキジラミ Hemipteripsylla matsumurana の幼虫は、シロダモなどの常緑のクスノキ科の葉でよく見つかっていますが(こちら)、その生活史は寄主植物の種類によって異なるようですし、全て同じ種なのかも疑問です。
 前に載せた記事には、落葉樹であるクロモジの葉にいたトゲキジラミの成虫は飛来したのか、幼虫はどこで育ったのか、などの疑問を書いています。



 今回改めてクロモジにいる成虫の分布を見ると、限られた所に集まって分布していて、飛来したとすると不自然ではないかと思いました。 その分布を見ると、幼虫は芽の中で(=芽鱗の内側で)育っているようにも思えます。 しかし、もしそうだとすると、芽への産卵の時期が問題になります。 成虫がこの時期に産卵しようとしても、来年の芽はまだできていません。


 上の写真には白い小さな粒が写っています。 これがトゲキジラミの卵なのか、排泄されたワックスなのか、トゲキジラミとは無関係のものなのか、その“正体”も気になります。 トゲキジラミは寄主転換するのか、2化性なのか、など、疑問がいっぱいです。 いずれにしても、例えばシラカシトガリキジラミのような、成虫も幼虫も同じ葉で育つ1化性のキジラミとは違った生活史を持っているようです。

 ところで、カタクリのギフチョウですが、撮れたことは撮れたのですが、カタクリの花はたくさん咲いているのに、木の陰に咲く色のたいへん淡いカタクリの花にとまってくれたものですから、色彩的には不満足な結果になってしまいました。



2016-04-21

ヤマトヨウジョウゴケ

 このところヤマトケビラゴケヤマトコミミゴケと、上から(=背面から)見ると丸い葉が重なり合っていて、よく似ているコケが続いていますが、本日もそのようなコケです。 じつはこの3種は数mも離れていない所で育っていました。


 上はヤマトヨウジョウゴケ Cololejeunea japonica です。 渓流に覆いかぶさるように枝を伸ばしていたシロダモの葉の表についていました。


 重なり合っている葉(背片)は卵形で、長さは 0.5mmほどです。(上の写真の目盛の数字の単位はmmです。)


 上は腹面から見た顕微鏡写真です。 ヤマトヨウジョウゴケの特徴の1つとして、腹片の形がポケット状~舌型と多型で、同じ植物体上に混在することが挙げられます。 しかし植物体によって多い型には偏りがあるようです。 前に載せたヤマトヨウジョウゴケ(こちら)で多く見られた腹片とよく似た形のものは、上の写真では下中央の1つだけです。
 上の写真の右上に丸いものが3個見えます。 下はその拡大です。


 これは気泡ではなさそうです。 雄苞葉に包まれた造卵器ではないかと思っているのですが、どうでしょうか。



 上から3枚目の写真にも写っていますが、今回はたくさんの無性芽を観察することができました。 無性芽は円盤状で、葉の腹面にも背面にもついているようです。


 上は背片の葉身細胞です。 油体は円形のものと紡錘形のものが混在していますが、どちらも微粒の集合のようです。

(2016.4.13. 池田市五月山)