2016-12-15

ヒメタチゴケ


 前に載せたヒメタチゴケ Atrichum rhystophyllum は雄苞葉が目立っていましたが、今回は少なくとも肉眼的には生殖に関するものは見当たりません。 葉の横皺がよく目立ちます。


 葉をもう少し拡大すると、葉の縁以外に、背面(いわゆる葉の裏側)にも歯が見られます(上の写真)。


 上は顕微鏡で葉の背面を見たものです。 歯は横皺の背面から見て高くなっている所に並んでいます。


 上は少し汚れたり傷んだりしていますが、葉の先を背面から撮ったものです。 葉の先近くでは中肋にも歯が目立ちます。


 上は葉の先近くの腹面(いわゆる表側)です。 中肋上に3列の薄板が認められます。葉の縁の歯は対になっています(右側の葉縁でよく分かります)。 葉縁には舷があります。


 葉身細胞は小さく、平凡社の図鑑では中肋近くで長さ 12~18μmとなっています。 上の写真では左が中肋で、下にある最小目盛が 10μmですから、記載とよく合います。

(2016.12.10. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

こちらでは新しい葉が赤くなっているヒメタチゴケを載せています。