2017-01-10

ノミハニワゴケ@1月


 積み上げた石の壁の上に育つ写真のコケはノミハニワゴケ Haplocladium angustifolium でしょう。 たくさんの赤褐色の蒴柄が目立つのですが、この時期の蒴はまだ若く、このまま真っ直ぐ上に伸びるのか傾くのか、同定のヒントにはなりません。(帽も蓋も取れた5月の蒴の様子はこちらに載せています。)


 蒴をつけていない群落は、まだ群落として成熟していないのでしょうか。


 湿らせると上のように葉が開きます。


 上は茎葉、枝葉、苞葉の関係を見たものです。左上から右下に伸びる茎につく茎葉は枝葉より少し大きく、苞葉はそれよりもかなり大きくなっています。


 上は枝葉です。 中肋は太く、葉先から突出しています。 上の葉で長さは 0.7mmほどです。 小さく柔らかい葉を1枚はがすのは、なかなか難しく、上の葉も少し破れてしまいました・・・。


 上は枝葉の葉身細胞を背面から撮ったもので、左が葉の先端方向です。 細胞の上端にパピラが見られます。 写真に写っている葉身細胞の長さは8~15μmほどです。


 ノミハニワゴケはシノブゴケ科に分類されています。 シノブゴケ科のコケには茎に毛葉を持つものが多いので、ノミハニワゴケの茎の葉を取り除いて顕微鏡で見たところ、上の写真のような毛葉が確認できました。 枝でも調べてみましたが、枝の毛葉はほんのわずかしか確認できませんでした。

 ところで、ノミハニワゴケを漢字で書くと「蚤葉庭苔」つまり蚤のような小さな葉の庭に生える苔だとばかり思っていました。 しかし今回ネットで少し調べてみると、「蚤埴輪苔」と書かれてある所があちこちみつかりました。 どこが埴輪(はにわ)に似ているのでしょうか。

(2017.1.6. 堺自然ふれあいの森)