2018-02-09

ケネザサ


 写真はケネザサ Pleioblastus fortunei f. pubescens です。 関西の山麓や丘陵地には最も普通の“笹”で、稈の高さは2mを越すものもよく見られます。
 竹や笹の仲間は、分類学的にはイネ科タケ亜科としてまとめられていますが、蝶と蛾同様、竹と笹をきちんと分ける分類学的な基準はありません。 高くなるのが竹で小さいのが笹だとか、稈鞘(=いわゆる「竹の皮」)が早く落ちるのが竹で稈鞘が長く宿存するのが笹だとも言われますが、このような基準では、なかなかきれいに竹と笹に分けることはできません。
 ケネザサも和名には「ササ」とついているので、上でも“笹”と書きましたが、じつはメダケ属の一種です。 ちなみにタケ亜科は45属ほどに分類されています。



 ケネザサを含むメダケ属は、各節から3~多数の枝を出します。 Pleioblastus という属名は、Pleio は「多」を、blastus は「芽」を意味します。
 ちなみに、マダケやモウソウチクなどのマダケ属の枝は各節から2本ですし、ミヤコザサやよく庭に植えられるクマザサなどのササ属の各節から出る枝は1本です。


 葉の裏には全体に軟毛があります。 これが和名の「ケ(毛)」の意味でしょう。 上の写真では毛のたくさん生えている所と生えていない所があるようにも見えますが、細い軟毛は光の当たり方で見えなくなってしまいます。


 葉の上面にも、やはり光の当たり方で見えたり見えなかったりする毛がありますが、葉の裏よりはまばらです。 なお、同じ属のネザサ P. chino var. viridis は、葉の表にも裏にも毛はありません。


 上はここ数年、ほぼ年に1回刈り込まれている場所のケネザサです。 このように刈り込まれたり踏まれ続けていると極端に小型になるのもケネザサの特徴の1つです。 定期的に年3回ほどの刈り込みを続けると、芝生のようになるとのことです。

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