2024-02-22

ツクシツボミゴケに寄生したミドリコケビョウタケ?

 ミドリコケビョウタケ Mniaecia jungermanniae は苔類に寄生する子嚢菌で、やや肉厚なクッション状の、直径1mmに満たない小さな子嚢盤をつくります。 アカウロコゴケに寄生している様子はこちらに載せていますが、古い写真を整理していて、たまたま本種らしきものがツクシツボミゴケ Solenostoma truncatum に寄生しているらしい写真をみつけました。

 2017年の2月22日の撮影で、詳しく調べることはできませんが、色や大きさから本種である可能性は高いと思います。 焦点の合っているものの後ろにも、たくさんの子嚢盤が写っています。

2024-02-19

サクラジマツヤゴケ

 


 写真はサクラジマツヤゴケ Entodon calycinus でしょう。 倒木の上に広がっていました。 蒴が直立しているのは、この属の特徴です。

 内雌苞葉が長いのは本種の大きな特徴です。 上の写真の内雌苞葉は約4mmですが、4.5mmに達するようです。 蒴柄の長さは上の写真では 8.5~9mm、平凡社では6~20mmとなっています。

 上は蒴歯を蒴の内側から撮っています。 本属の内蒴歯は基礎膜が低く間毛も無いのですが、本種は内蒴歯の歯突起も発達が悪く、平凡社では「・・・歯突起は破片状で外蒴歯に付着する。」とあります。 上の写真でも、たしかにその傾向はあり、整った形の歯突起ではありません。

 上は胞子です。 平凡社では胞子の径は 13~18μmとなっており、上の写真ともほぼ一致します。

 上は茎葉です。 1枚の葉をヒロハツヤゴケと比較すると、本種の方が少し大きいのですが、特徴はよく似ています。

 上は翼部です。

 上は葉身細胞です。 やはりヒロハツヤゴケに似ています。

(2024.2.17. 大阪府池田市 五月山公園)

2024-02-02

ツジベゴヘイゴケ

 上は石灰岩から垂れ下がっているコケ群落で、蘚類(センボンゴケ科?)や大小2種類の苔類などが写っていますが、大きい苔類はツジベゴヘイゴケ Tuzibeanthus chinensis だと思います。 和名は辻部正信氏を記念してつけられています。

 上は腹面から撮っています。 植物体は緑褐色で、葉を含めた茎の幅は約2.5mmです。

 背片も腹葉も全縁です。 上の写真では腹葉に隠されるなどではっきりしませんが、小さな腹片があります。

 上は腹片です。

 上は腹葉です。

 上は葉身細胞です。 油体はブドウ房状です。

(2023.12.30. 高知県 横倉山)

2024-01-26

ミヤベゴケ


 写真はミヤベゴケ Miyabea fruticella でしょう。 樹幹に大きな群落を作っていました。 樹皮上を這う一次茎から二次茎が斜上しています。

 二次茎は不規則な羽状に分枝しています(上の写真)。 葉は乾くと枝に接します。

 枝葉は長さ 0.5-0.8mm、葉縁上部に小鋸歯があります(上の写真)。 中肋は不明瞭ですが葉の中部に達しています。

 上は葉の中央付近です。 葉身細胞は楕円形で長さ8~13μm、非常に厚角です。

(2023.12.31. 高知県 横倉山)

◎ ミヤベゴケはこちらにも載せています。

2024-01-20

ナガスジハリゴケ

 

 写真は、雨で濡れていますが、ナガスジハリゴケ Claopodium prionophyllum だと思います。 石灰岩上にありました。

 茎はやや羽状に分枝しています(上の写真)。 乾くと葉はやや縮れます。

 上は枝先です。 枝葉は披針形で、パピラがあります。

 上は枝葉(右)と茎葉(左)です。 茎葉は広卵形の下部から急に細くなり、長さは1~1.2mmです。 小さな葉ですが、同属で本種と特徴のよく似たハリゴケの茎葉は 0.4~0.5mm、ホソハリゴケの茎葉は約 0.3mmと、もっと小形です。

 茎葉の先端は針状で、中肋は葉先から長く突出しています(上の写真)。


 上の2枚は葉身細胞と葉縁の細胞との違いを示しています。 葉身細胞にはパピラがありますが、葉縁の細胞は比較的透明でパピラはありません。

 上は葉身細胞です。 細胞はマミラ状で、その中央に1個のパピラがあります。

(2023.12.31.高知県 横倉山)