2018-04-24

タチヒダゴケの蒴の開閉



 樹幹にくっついているタチヒダゴケ Orthotrichum consobrinum が胞子を出していました。 蒴壁が縮み、中の胞子を外に押し出しているようです。 蒴歯は反り返り、蒴壁にくっついています。
 葉が開いていると、もっと美しくておもしろい写真が撮れるだろうと、霧吹きで水をかけると・・・



 蒴歯はあっという間に閉じてしまいました。 胞子が無くなってしまったのは霧吹きで吹き飛ばされたのでしょう。

 胞子散布時期の蒴歯は乾湿で開閉します。 風に載せて胞子を飛散させたい種の蒴歯は乾くと開き、水で胞子の拡散を図りたい種の蒴歯は湿ると開くようです。 樹幹に着くタチヒダゴケは、幹を伝う水で胞子を広げるのだと思っていたのですが、逆でした。
 タチヒダゴケは幹から幹へと飛び移りながら分布を広げようとしているようです。 たしかにタチヒダゴケが密に集まった大きな群落はあまり無いようです。

(2018.4.20. 堺自然ふれあいの森)

2018-04-23

ジンガサゴケ(雌器托・胞子など)


 上はジンガサゴケ Reboulia hemisphaerica subsp. orientalis の雌器托で、2018.4.17.に堺市南区高倉台で撮ったものです。 まだ胞子は飛び始めていません。


 上は雌器托の柄の断面で、赤い四角で囲った部分で表皮が柄の内部に落ち込んでいます。 下はこの部分の拡大です。


 表皮で囲まれた空間には、上下に走るたくさんの仮根の断面が見えます。 上の写真では仮根の断面が少し分かりづらいので、コンペンセータ(検板)に鋭敏色板(λ=530)を使った偏光顕微鏡で細胞壁を光らせて撮ったのが下です。


 仮根が集まり小さな隙間がたくさんできることで、毛管現象が起こり、水が上へ登って行く事ができます。 卵細胞が受精する時は、まだ柄は伸びていませんが、精細胞もこの通路の水の移動に乗って卵細胞へと向かうのでしょう。


 上は胞子と弾糸です。


 胞子を深度合成してみました(上の写真)。


 上は 2018.4.22.の撮影です。 多くの雌器托では、胞子を飛散し終えています。 右の雌器托では3個の胞子体はまだ開裂しておらず、右上の胞子体は、まさに胞子を散布中で、弾糸も細く黒っぽい糸状のものとして写っています。 下はこの胞子散布中の胞子体を拡大したものです。




2018-04-22

カマハコミミゴケ


 写真はカマハコミミゴケ Lejeunea discreta のようです。 葉(背片)はやや鎌状に曲がった卵形で、ゆるく重なっています。


 生育環境が分かるように引いて撮ってみました(上の写真)。 写真中央から右の方に写っているのがカマハコミミゴケの群落です。


 腹葉は長さと幅がほぼ同長で、茎径の3~4倍の長さがあります。
 腹片の大きさにはかなりのばらつきがあり、背片の1/2に近い長さのものから痕跡的なものまであります。


 腹葉は 2/5~1/2まで狭V字形に2裂しています。 腹片の歯牙は1細胞からなっているようです。
 腹片の歯牙の基部にある細胞(とそれに連なる細胞)が他の細胞より大きく、これが似た種と区別するのにいい特徴のようです。 この特徴を確認するために、下にもう1枚写真を載せておきます。


 このような腹片の特徴を持つ日本のクサリゴケ属は、平凡社の図鑑の検索表によれば、他には小笠原硫黄列島に見られるミズタニクサリゴケのみのようです。


 上は葉身細胞です。 葉身細胞の壁は薄く、中間肥厚し、小さなトリゴンが見られます。 油体は微粒の集合した楕円体で、各細胞に 10~14個ほど見られます。

(2018.4.11. 京都市 西芳寺川)

2018-04-20

ウスモンカレキゾウムシ

 堺自然ふれあいの森でのこの虫との再会を機会に、Part1の 2014.6.4.の記事からこちらへ引っ越しました。


 フジの枯れ枝でよく見られるウスモンカレキゾウムシですが、夜間に灯火に惹かれて飛来したのか、壁にくっついていました。



 ウスモンカレキゾウムシはゾウムシ科アナアキゾウムシ亜科に分類されていて、同属には「○○モンカレキゾウムシ」という名前のゾウムシが何種類かいます。
 これだけ明瞭な模様を持ちながら、なぜ「ウスモン」なのかと思いましたが、同属の「○○モンカレキゾウムシ」には、黒っぽい体色に白い明瞭な紋のあるものが多く、それらに比較すると、たしかに紋がよくわかりません。


 それにしても、すごい鱗片ですね。

(2014.6.3. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2018-04-19

ホウライスギゴケ



 写真はホウライスギゴケ Pogonatum cirratum でしょう。 谷の北向き斜面にありました。 前に載せたものは立っていましたが、今回のものは上の写真のように斜面を這っています。 光が弱いとこうなるのでしょうか?


 大きさが分かるように10円硬貨を置いて写してみました。


 乾くと上の写真のように弱く巻縮します。


 葉の長さは、上の葉では7mmほどです。 平凡社の図鑑では5~10cmとなっていますが、cmはもちろんmmの誤りでしょう。


 葉縁には鋸歯がありますが・・・


 葉の鞘部(茎にくっついている部分で、薄板もありません)は全縁です。 本種によく似たコセイタカスギゴケの鞘部には歯があり(こちら)、見分けるポイントとなります。





 この場所で見られたホウライスギゴケの葉の厚さは、光が弱い環境なのか、特に薄いようです。 薄板は2~3細胞の高さで、端細胞の上面は平滑です。

(2018.4.11. 京都市 西芳寺川)