2015-01-07

マメホコリの子実体と胞子散布

 2014.11.4.から 2015.1.5.まで、2ヶ月にわたってマメホコリ Lycogala epidendrum の子実体を継続観察しました。 以下はその記録です。

● 2014.11.4.
 「堺自然ふれあいの森」の苔むした朽木の上に、下の写真のようなマメホコリの未熟な子実体を見つけました。



 マメホコリは変形菌の一種です。 動物的性質を持つアメーバ状の栄養体が微生物などを摂食し、成長すると這うのを止めて胞子を形成しはじめます。 上の写真は、朽木の樹皮の下で育った栄養体が胞子形成のための子実体に姿を変えたばかりのところで、薄い皮層を破ると、下の写真のようにドロドロと中身が流れ出します。


 マメホコリの子実体は温暖な地方では1年を通して普通に見られますが、できたばかりの子実体を見つけたのを機会に、どれくらいの期間で胞子ができるのか継続観察することにしました。

● 2014.11.6.


 子実体は上の写真のような色に変化していました。


 切ってみると、上の写真のように、中身はペースト状になっていました。


 子実体の形成はある程度の時間的な幅があるらしく、上の写真のように、新しい子実体も形成されていました。

● 2014.11.11.


 色が少しずつ濃くなってきた以外は、外見はほとんど変化が見られなくなりました。 断面を作ってみても、上の写真のように、ペーストの水分が少し減った印象を受ける程度です。

 この後も観察は続けましたが、ほとんど変化が見られませんでしたので、12月19日までは省略します。

● 2014.12.19.


 パンパンに膨れていたように見えていた子実体が変化しはじめていました。 上の写真の中央やや左上の子実体の頂には穴が開いていますし、右下の子実体からは、頂から胞子らしいものが出ています。


 朽木の側方についていた子実体の1つを破いてみました(上の写真)。 中には胞子が詰まっていて、下にこぼれ落ちましたが、空中に舞い散るようなことはありませんでした。
 子実体が作られてから胞子が完成するまで40日あまり、もちろん温度などの環境条件にもよるでしょうし、1つの観察結果から結論は出せないでしょうが、こんなに時間がかかるとは思いませんでした。

 これで継続観察を終わろうと、まとめるにあたって参考になる記事は無いかとPCで検索していると、あるところで、熟した子実体を押すと胞子が空中に飛散するような記載がありました。 私の観察では、上にも書きましたが、胞子は互いにくっつきあう傾向があり、小さな塊としてこぼれ落ちるのであって、ホコリタケのように空中に飛散するような軽いものではありません。 しかし、もっと日数が経過して乾燥すれば空中に飛散するとも考えられるので、もう少し観察を継続することにしました。

● 2015.1.5.
 前回の観察から2週間あまり経った子実体の様子を見てきました。 胞子が出はじめるのは子実体によってかなり時間差があるようで、もう胞子を出し尽くしてぺしゃんこになっているものもありましたが、これから出そうというものもありました。


 胞子が出はじめている上の写真の状態のものを指で押してみましたが、なかなか胞子は出て来ず、胞子が空中に飛散するようなことはありませんでした。 やはり少しずつこぼれ落ちるようです。
 なお、上の写真の上方や下の左側には何者かに穴を開けられた胞子体が見えています。 胞子を摂食する何者かがいて、その体に付着して胞子が散布されることもあるのかもしれません。

こちらでは成熟したマメホコリを顕微鏡を使って観察しています。


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