2015-07-14

ハネムクムクゴケ


 オノマトペをそのまま取り込んだ和名、たしかにむくむくふわふわした印象の苔です。 どこまでが1枚の葉かも分からないのですが、細かい毛がびっしりと生えているようにも見えます。 上の写真は大きさがわかるように、意図的にジャゴケを右に入れて撮りました。 ジャゴケの葉状体背面の模様(“蛇の鱗”)は、いいスケールになりますね。
 ハネムクムクゴケ( Trichocolea pluma )はウロコゴケ目ムクムクゴケ科の苔類です。 長い間、日本にはムクムクゴケ( T. tomentella )1種のみが知られていましたが(平凡社の図鑑にも、この1種のみの記載です)、その後の研究で、現在日本には5種が認められています(こちら)。 ムクムクゴケは北半球に広く分布するコケで、日本ではもう少し寒冷地に分布し、垂れる姿で、上の写真のような上方へ向かう姿ではないようです。



 上はハネムクムクゴケを腹面(=裏側)から見たもので、茎がよく伸びて葉がまばらについているところでは、1枚の葉を確認することができます。 葉は細かく糸状に裂けています。
 葉(側葉)より小さい腹葉も存在するのですが、葉と同様に細かく裂けていて、両者の区別は付いている位置から判断する方が無難なようですね。


 上の写真のように葉が混んでついているところでは、1枚の葉がどこまでなのかを見極めようとする気も起りません。

(2015.6.17. 岩湧山 標高400m付近)

こちらには胞子体を保護するシーロカウレをつけた(たぶんハネ)ムクムクゴケを載せています。

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 屋久島で撮ったハネムクムクゴケの細胞の写真を下に追加しておきます。(2020.3.21.)


 ハネムクムクゴケでは、細胞と細胞の境が竹の節のようになっていて、油体には眼点があります。